晩年/太宰治

晩年 (新潮文庫)

晩年 (新潮文庫)

太宰の初期短編集であり、処女作。
人間失格や斜陽も好きだけど。やっぱりこの本も素晴らしい。

この本に収録されている。「葉」の冒頭の一文は有名かつ衝撃的。

 死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目(しまめ)が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。